#593 製粉工場見学@千葉製粉㈱&千葉共同サイロ㈱
先日、千葉製粉さんと隣接する千葉共同サイロさんを見学する機会に恵まれました。千葉製粉は千葉市美浜区の食品コンビナート内に位置する、名実ともに日本を代表する製粉会社の一つです。敷地内に3つの製粉工場及び粉体加工棟を有しています。1999年のCミル(第3工場)竣工時に引き続き、今回が2度目の見学ですが、改めてその素晴らしさを再認識いたしました。また千葉製粉に隣接する千葉共同サイロは、日本屈指の穀物サイロです。以下この2つの施設を簡単にご紹介します。
千葉製粉は1947.11.18に日立航空機、日東製粉、千葉銀行から役員を迎え千葉市川崎町に設立。そして翌1948.10に旧日立航空機㈱千葉工場の設備を再利用し、日産設備能力112.5tで製粉工場の操業を開始します。その後1964.4には日産設備能力353.7tへ増強。更に1967.11には川崎町から現在地である新港へ移転し、日産設備能力485.8tの新工場が稼働します。この時点で千葉製粉は山工場から海工場へと転換します。つまりボタン一つ押すだけで、原料小麦をサイロから製粉工場へ、コンベアで搬入できる近代的な製粉工場となります。製粉した小麦粉の60%は30台の大型バルク車と2台小型バルク車(通称チビタン)がフル回転で、加工メーカーへ配送します。
小麦といえばかつては国産小麦だけでしたが、食の多様化に伴い小麦需要が伸び、また外国産小麦のコスパが優れているため、現在では食用小麦の国内需要600万tの内、500万tはアメリカ、カナダ、オーストラリアからの輸入に頼っています。よって輸入小麦が保管される港のサイロに工場が近いほど物流費をカットすることができます。つまり製粉工場とサイロが直結していれば、最高に効率的なわけです。このサイロと工場が一体化している製粉工場をミルサイロといい、これが現在の製粉工場の標準モデルとなっています。
そして1999.6にはCミル(日産設備能力315t)が新たに竣工し、全体の設備能力は800tとなり、現在は年間約20万tの小麦を製粉しています。ざっくりではありますが、これはうどん玉に換算すると16億玉、そして日本の小麦粉需要の3.5%をここから供給していることになります。弊社のような小規模製粉工場からみると、千葉製粉さんのような大規模製粉工場は何もかもが大きすぎて、戸惑いを感じます。しかし水車小屋のような小規模製粉工場でも、小規模であるからこそうどん専門店からのきめ細かな要望に対応できるとも考えています。
さてこの大型製粉工場に隣接するのが、千葉共同サイロです。千葉製粉や千葉共同サイロが立地するこの千葉食品コンビナートには、わが国最初の食品工業団地として昭和39年に発足し、現在は製粉、製麺、パン、菓子、砂糖、牛乳、食用油、精米、飼料、倉庫、冷凍倉庫といった、私たちの食生活に欠かせない業種が集中しています。千葉共同サイロは253本のサイロを保有し、その収容能力は16万1千tと国内最大。国内需要の約20%に相当する年間100万t以上の小麦がここへ陸揚げされます。
船から小麦を吸い上げるアンローダは機械式(600t/h)とニューマ式(400t/h)の2基があり、両者で毎時1,000t,そして1日で6,500tの小麦をサイロに搬入することができます。サイロに保管された小麦の70%はチェーンコンベアで直接2社の製粉工場に供給されます。見学当日は丁度7万tのパナマックスが陸揚げを完了し、離岸するところでした。パナマックスとはパナマ運河を通過できる最大サイズの船のことで、これが事実上世界中の大洋を制限なく航行できる最大サイズの船です。しかし余りにでかいため、沖合にでるまではタグボートに押してもらい、更に外海にでるまでは、地形に詳しい操縦士が代行運転するそうです。こういう立派な製粉工場が首都圏の胃袋を支えているという事実が実感できた充実した見学会でした。