#625 「腸活」ゴロゴロ動き出す

f625「『腸活』ゴロゴロ動き出す(日経MJ2018.6.29掲載)」という記事を興味深く読みました。「就活」とは言わずと知れた「就職活動」。「○活」から最初に連想する言葉といえば、きっと「就活」に違いありません。また「婚活」は結婚を目指して、積極的に出会いの場を求めたり、自分自身を研鑽したりする活動。「終活」は人生の終わりに向けて、自身のお葬式のこと、財産の相続、身辺整理などの活動。そして今回のテーマである「腸活」とは、腸の働きを活性化させ、それを維持させる活動のことです。

「腸と脳とが連携しているとは、なんと荒唐無稽な話だろう」と最初聞いたときはびっくりしましたが、時代は変わります。現在では、「腸は第2の脳」と言われるほど、重要な器官であることも、認知されるようになりました。それほど「腸の状態」が私達の健康に大きな影響を及ぼすからには、「腸活」が重要視されることも当然といえば当然です。また女性にとっての美容も、単なる表面的な小手先だけでなく、体の中(つまり腸)から、健康にならないと意味がないという意識が高まりつつあります。

理想的な健康生活を実践するには、①正しい食事と②適度な運動を組合せた「腸活」が不可欠です。「運動」なしの食事だけに頼った腸活は、十分ではありません。筋肉を使用することなく、筋力を維持することができないのと同様、適度な運動なくしての健康維持管理は困難です。よって「正しい食事」と「適度な運動」が健康生活を実践するための両輪となります。

記事によると最近の腸活は、単に食事だけに留まることなく、発酵食品をふんだんに取り入れた「腸活に良いレストラン」や、腸活を意識したヨガ教室など、腸活バリエーションもどんどん拡がっているようです。腸活によい食品といえば、従来は何はさておきヨーグルトでしたが、最近は食物繊維が豊富なスーパー大麦などの新食材も注目されています。しかしヨーグルト人気は一服したとはいえ、市場はまだ4,000億円以上とダントツの腸活食品市場規模を誇ります。やはりビフィズス菌や乳酸菌などを簡単に摂取するには、ヨーグルトがお手軽なのです。

私たちの腸内には、何百種類もの腸内細菌がびっしりと張り付き、その数は100~1,000兆個、重さにして1kg以上。その腸内環境は、「腸内細菌叢」もしくは「腸内フローラ」とよばれています。腸内には①善玉菌(ビフィズス菌、乳酸菌など)、②悪玉菌(大腸菌、ウエルシュ菌など)、③日和見菌(通常は何もしないが体調が崩れると悪さをする菌)の3種類がバランスのとれた状態で存在しています。プロバイオティクスとは、「人間の健康に役立つ生きた微生物」のことで、乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌がプロバイオティクスの代表例です(#480#560)。

ただ残念なことに壮年期を過ぎ老年期に入ると、善玉菌であるビフィズス菌は減少し、逆に悪玉菌であるウエルシュ菌や大腸菌は、増加します。よって私達は加齢とともに、積極的にヨーグルトなどの乳製品を摂取し、善玉菌を増やし腸内環境を改善する必要があります。そして腸内細菌にとって欠かせない存在が乳酸菌やビフィズス菌の栄養源となる食物繊維です。

特に小麦ふすまは、自然の食物繊維の代表的な存在です。小麦は人類史上最も長期間に亘り、また全人類的に主要な食糧として利用されてきました。つまり小麦は他のどんな食材よりも長期間に亘り、またより多くの人々によって支持され、その有効性と安全性は実証されているわけです。つまり我田引水ではありますが、「ヨーグルトと小麦ふすま」の組合せは、腸内フローラを改善するためのベストミックスであると考えます。

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