#629 坂出市にコウノトリが飛来
弊社社員のTさんは、写真が趣味です。先日、「これ、近所の田んぼにおったんや」と言って3枚の画像を見せてくれました。最初はサギかと思いましたが、そこには写っていたのはなんとコウノトリでした。ただ、サギはこの近辺で時々みかけるものの、コウノトリはまだ実物にお目にかかったことがありません。よって恥ずかしながら違いもよくわかりません。それにコウノトリは絶滅危惧種に指定されていで、そんじょそこらにいないはずです。
そこで「なんでこんなところにいるのだろう?」といぶかしがっていたその矢先、地元紙に「コウノトリ3羽が坂出市に飛来した」との記事が掲載されました。この3羽の足には、兵庫県立コウノトリの郷(さと)公園(豊岡市)により個体識別用の足輪がつけられていて、鳴門市の電柱上の巣で昨年春に誕生し、同6月に巣立ったオスと、同所で同じ親鳥から生まれ、5月に巣立ったメス2羽であることが判明しました。コウノトリの繁殖期は、3,4歳からということで、現在は繁殖に備えて豊富な餌場を探索中です。同公園によると「昨年生まれたお兄ちゃんが餌を捜しているうちに、たまたま妹の2羽と合流したのだろう」とのことです。
コウノトリといえば、ぼんやりと「赤ん坊を運んでくる」くらいの貧素なイメージしかないので、少し調べてみました。国の特別天然記念物であるコウノトリは、かつては日本中に広く生息・繁殖していましたが、1971年に野生下では消滅。そこで兵庫県では、日本最後の生息地となった丹波地域・豊岡市において、1965年人工飼育を開始。その後コウノトリを保護増殖し、野生復帰を実践する研究機関として「コウノトリの郷公園」が1999年に開園。同公園が2005年から放鳥を行うなど野生復帰の取組みを続けた結果、2017年6月には野外の生息羽数は100羽に到達し、同年8月には全国47都道府県でコウノトリの飛来が確認されるまでになりました。そして2018年7月現在、野外の個体数は、140羽まで回復しました。
さて肝心のコウノトリですが、実物をみたことがないので、以下全て受け売りです。両翼を広げると200~220cm、立つと100~110cm、そして体重は4~5kgとかなりの大型で、サギと比較すると大人と子供位の違いがあります。またそのやさしそうなイメージとは裏腹に、バリバリの肉食で、ドジョウ、フナなどの魚類、ヘビ、カエル、バッタなどの多様な生物を、そのまま丸のみにします。つまりコウノトリは、大型の肉食性鳥類であり、湿原、湖沼、河川、水田などに住む、湿地生態系の食物連鎖の頂点に位置する頂点捕食者です。
コウノトリといえば、「赤ん坊を運んでくる」イメージが強烈ですが、実際はコウノトリではなくシュバシコウだそうです。つまり欧米では、「シュバシコウが赤ん坊を運んでくる」とか「シュバシコウが住み着いた家には幸福が訪れる」と言われています。「シュバシコウ⇒コウノトリ」と変わった理由は、両者がよく似ていることに加え、前者の生息地がヨーロッパ・中央アジアであるのに対し、後者は極東アジアであるからだと想像されます。
シュバシコウは、朱嘴鸛とかき、これは読んで字の如く、「赤いクチバシのコウノトリ」のことです。実際、シュバシコウのクチバシは赤く、それに対しコウノトリのクチバシは黒く、これが両者の大きな違いです。まあいずれにしても両者の違いは、「うどんときしめん」、「打ち込みうどんとほうとう」くらいの僅差です。我々にとってのコウノトリのイメージは、やっぱり赤ちゃんです。そういえば以前ご紹介した、セントラル製粉さんのトレードマークもコウノトリでした。(#395)。コウノトリが多くのうどんツーリズムの方々を運んできてくれることを期待せずにはいられません。