#647「飲食店」の市場規模と訪日外国人との関係
先日、訪日外国人数が3,000万人と突破したと、ニュースで聞いた方もいると思います。少し説明すると、2018年11月の訪日外国人数が前年同月比3.1%増の245万1,000人(推計値)。これは11月としては過去最高を記録し、11ヶ月間の累計は、前年比9.1%増の2,856万100人。また2018年12月18日時点の、今年の訪日外国人旅行者数が3,001万人。つまり2018年は史上初の3,000万人超える節目の年となりました(以上、日本政府観光局(JNTO)の発表)。
また今年11ヶ月間の訪日外国人の内訳は、中国(679万人)、韓国(646万人)、台湾(424万人)、香港(202万人)、米国(126万人)、豪州(44万人)と上位6カ国で全体の3/4となります。上位4カ国は近隣諸国と予想通りですが、米国と豪州は、「意外に多いなぁ」という印象を受けます。アメリカからだと移動だけでも丸一日かかるので、素直に「すごいなぁ」と感謝の念で一杯です。さて業界紙(製粉振興2018.11月号)に「平成30年の外食・中食産業の動向(堀田宗徳著)」という興味深い記事が掲載されていたので、簡単にご紹介します。
H29の外食産業市場規模、つまり単純に外食に支払った金額の合計は、前年比+0.9%の25兆6,561億円、そのうちの飲食店は、+1.8%の14兆1,581億円となります。尚、一口に外食産業といっても色々あるので、分類の詳細については(#613)をご覧ください。また飲食店の内訳をみると、食堂・レストラン(+1.6%,10兆932億円)、そば・うどん(+2.7%、1兆2,749億円)、すし店(+0.1%、1兆5,113億円)、その他(+3.9%、1兆2,787億円)となり全ての業種でプラスとなっています。そば・うどん店も前年をクリアーしているので、業界として素直に嬉しいです。
次に外食産業の市場規模の推移をみると、以前は減少傾向であったものが、H24 からは6年連続で増加しています。人口減少時代に突入したにも拘らず、外食産業は健闘しているように見えますが、単純には喜ぶことはできません。というのは外食産業市場規模には、訪日外国人の飲食費も含まれているからです。外国人の飲食費は、H28 が7,574億円、H29 が8,857億円なので、それを除くと、H28 は25兆4,169億-7574億=24兆6,595億円、またH29は25兆6,561億-8,857億=24兆7,704億円となります。つまりH29/H28=100.45%となり、ほぼ同じとなります。
外食全体の比較(H29/28) :25兆6,561億 ÷ 25兆4,169億 = 100.94%
訪日外国人を除く外食全体の比較(H29/28) :24兆7,704億 ÷ 24兆6,595億 = 100.45%
飲食店市場の比較(H29/28) :14兆1,581億 ÷ 13兆8,767億 = 102.03%
訪日外国人を除く飲食店市場の比較 :13兆2,724億 ÷ 13兆1,193億 =101.17%
訪日外国人が飲食店市場に占める割合(H28): 7,574億 ÷ 13兆8,767億 =5.46%
訪日外国人が飲食店市場に占める割合(H29): 8,857億 ÷ 14兆1,581億 =6.26%
こうやってみると、訪日外国人の飲食費は、外食産業市場、特に飲食店市場においてはかなりの存在感を示しています。外食産業市場規模が、H24 (2012)から6年連続で増加している事実に対し、2013年からの訪日外国人の急増が大きく寄与していることは、間違いありません。人口減少時代に突入した今、外食産業も、訪日外国人を抜きにしてその成長は語れません。
尚、訪日外国人が最も満足した飲食は、肉料理、そしてラーメン、寿司と続きます。また台湾、香港、中国の方々は、魚料理もお気に入りのようです。そして満足している理由としては、どの飲食も「圧倒的に美味しい」がトップでした。これらの人気メニューに対し、うどんや蕎麦は、地味ですが、美味しさでは負けません。それにうどん・そばは、そのあっさりとしたシンプルさ故、毎日でも飽きることはありません。訪日外国人の方々には、さぬきうどんツアーにお越しいただき、その美味しさだけでなく、非日常性もぜひ体験していただきたいところです。