#660 四国の交通インフラ・・・鉄道と高速道
本州(岡山県倉敷市)と四国(香川県坂出市)を結ぶ瀬戸大橋が開通したのは、1988年(昭和63年)4月10日のことでした。これで四国は本州と一体化し、うどんツアーもぐっとお手軽になりました。特に週末・休日の通行料金が1000円となった2009年3月当時は、うどん巡礼者の数はV字回復し、お店によっては直近のさぬきうどんブーム絶頂期の2003年当時よりも増えたところもありました。
そして瀬戸大橋開通から31年が過ぎ、四国を取り巻く環境、とりわけインフラは劇的に変化しました。影響が最も顕著なのでフェリーで、航路の廃止や減便が相次ぎました。そして先日、高速道路(高松自動車道)と鉄道(JR四国)の記事が相次いで、地元紙(四国新聞)に掲載されたので、ここにまとめておきます。高松自動車道(以下、高松道)は、鳴門市(鳴門IC)から四国中央市(川之江JCT)までの124.2kmの高速道。1987年12月に、香川で初めての高速道路が「善通寺~三島川之江」間が開通。
続いて1988年4月には、瀬戸中央自動車道が全面開通し(「児島~坂出」間が開通)、このとき初めて四国は本州と陸続きになりました。そして四国経済界においては、この瀬戸大橋開通が歴史上一大イベントとなりました。更に2002年7月には、「鳴門~板野」間が開通し、これにより淡路島経由で、関西圏と香川が高速道で直結し、これは瀬戸大橋開通以来のインパクトとなりました。ただ開通したとはいえ、一部区間は暫定2車線のままで、しばしば渋滞の原因となっていました。
そしていよいよ2019年3月8日には、高松自動車道がついに全線4車線化を達成しました。これにより「鳴門IC~高松東」間の51.8kmは、暫定2車線時と比べ、混雑時では89分から33分と55分の短縮、また平常時でも10分の短縮が実現されました。香川県からストレスを感じることなく関西圏へと移動できるのは、経済的にはもちろん、観光とりわけうどんツーリズムにとても、追い風になることは間違いありません。このように平成の時代においては、「瀬戸大橋開通 + 高速道の整備」により四国の交通インフラは、大きく改善されました。
しかし一方では、残念なニュースもあります。3月23日の地元紙では、JR四国の全18線区ごとの収支状況が初めて公表されました。JR四国全体の収支状況は、ここ最近低迷しているので、ある程度の予想はしていたものの、現実は更に厳しい結果となりました。2013~2017年度の線区ごとの営業損益は、本州と四国を結ぶ瀬戸大橋線を除く、17線区は軒並み赤字となりました。100円の収入を得るためにかかった経費を「営業係数」といいますが、唯一黒字線区の瀬戸大橋線は、営業係数が84円でした。
営業係数の全体の平均は、144円。香川県内は「多度津~琴平」間の175円が最高(最悪?)でした。一方予土線の「北宇和島~若井」間は、1159円ともっとも悪い線区となりました。鉄道は、地方創生のための重要なインフラであるため、赤字であるからといって直ちに廃止しろという意見は、あまりに乱暴です。しかし1159円という営業係数は、どんなに努力しても黒字転換できるものでもありません。更に現在、議論されている、四国新幹線導入も絡み、問題はかなり複雑化しています。
アメリカはあれだけの広大な国土でありながら、地方都市がうまく分散されています。一方、日本はこれだけ狭い国土であるにもかかわらず、なぜ更なる一極集中を目指す社会構造になってしまったのか、よく理解できません。しかし他国には成功事例があるのだから、日本でも分散化が可能なはずです。それにはやはり、行政が中心となって進める必要があります。うどんツーリズムだけでは、限界があります。