#662 平成を振り返って
色んなことがあった平成もあと少しでおわりです。イラスト担当者による新着情報をお届けします。
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先日、新しい元号「令和」が発表されました。平成生まれの私にとっては、元号が変わるのは初めての経験です。発表当日までソワソワと落ち着かない日が続きました。そしていざ発表されると、「やっぱり平成は良かったなあ…」と改めて感じました。そりゃあ今まで生きてきた思い出は、ぜんぶ平成に詰まっているので、愛着が湧くのも当然です。でもこれから新しい「令和」の時代が始まると思うと、期待もだんだんと膨らんできます。
さて平成を振り返り、個人的な思い出話は置いといて、私の印象に残った「平成」のできごとをいくつか選んでみました。まず一つ目は「ゆとり教育」。ゆとり教育とはご存知の通り、それまでの詰め込み教育に対し、提唱されたゆとりある教育カリキュラムのことです。学力低下等を理由に数年前からは廃止されましたが、私の学生時代はピタリと当てはまり、「ゆとり世代」を満喫しました。ただ残念なことは、ただでさえ勉強が不得意なのに、ますます勉強ができなくなったことです。
ゆとり教育が始まったのは、確か小学校の途中からでした。それまでは土曜日はいつも午前授業が終わると、母が車で迎えに来てくれ、近くの港で車を止め、二人で昼食をとるのが、土曜日の楽しみでした。しかしあるとき突然、土曜日の午前授業がそっくりなくなってしまいました。私にとっては授業の内容が薄くなったというより、土曜日の授業がなくなった事自体が衝撃的でした。
二つ目は1998年のゲームボーイカラーの登場です。私は学生時代も今も、相性が良くないのかゲームはあまりしません。しかし小学生のときに登場したこのゲームボーイだけは、なぜか例外でした。両親に隠れて布団の中でやった覚えがあります。視力が落ちたのはゲームボーイのせいだと思っています。
三つ目は消費税の導入が印象的です。消費税は平成元年(生まれる前です)に3%でスタートし、平成9年には5%、平成26年には8%に、そしてこの10月には更に10%にアップ予定です。つまり平成は正に消費税の時代ともいえます。10%へのアップは、何度も延期され続けてきましたが、今度こそは本当に実現されそうです。「何か今のうちに買っておかないと」と思うのですが、いざ買おうと思うとなかなか思い浮かびません。ギターも買ったし、掃除機くらいしか思いつきません(母親の潔癖症に感化された結果です)。
最後にもう一つ。地元坂出市にある「坂出市民ホール」が先日3月31日、43年間の歴史に幕を閉じました。市民ホールは、市の文化の発展に大きく貢献した大切な場所です。中学の時には、音楽ゼミで習っていた箏の演奏発表の場となり、またピアノの発表会の会場にもなりました。母と一緒に、よく生花の展覧会も観に行きました。そして何より二十歳を迎えた成人式が行われた会場であり、坂出市のランドマークの一つでした。しかし近年は施設の老朽化や耐震性の問題などの理由で、休館が決定しました。しかたないとはいえ、とても悲しいです。
最終日の閉館式には、友人のちあきちゃんが、ここでサヌカイトのミニコンサートをひらきました(サヌカイトは、通称カンカン石とも呼ばれ、高く澄んだ音がするので楽器として利用されます)。私は東京に居ながらスカイプを通して30分間のライブ・コンサートを楽しむことができました(なんと便利な世の中!)。演奏の最後は、「ふるさと」の合同合唱でした。私たちを育ててくれた場所に感謝しながら、また過去に思いを馳せながらの合唱です。平成の終わりに、大切な場所もまた一つなくなってしまいました。