#689 ブラウワー全粒粉と全粒粉うどん【製品紹介】

「小麦全粒粉(ぜんりゅうふん)」といえば、単純に「小麦の粒をそのまま挽き込み粉にしたもの」と考えますが、日本では明確な定義はありません。一方、FDA(Food and Drug Administration = 米国食品医薬品局)やAACC (American Association of Cereal Chemists = 穀物化学者学会)では、「同じ小麦から作られたものでなくても、その小麦粉の成分組成が全粒粉にほぼ等しいもの、つまりその比率がほぼ、胚乳(小麦粉)83%、ふすま(表皮)15%、胚芽2%となっている小麦粉」を全粒粉と定義としています(#430)。また同じ小麦でも、大きな粒は胚乳部分の比率が大きくなるため、「(胚乳83%、ふすま15%、胚芽2%)という構成比率は、常識の範囲内で、変更してもよい」ことになっています。

FDAが解釈を広げた理由は、全粒粉の食味の改善し、食物繊維の摂取を容易にする目的にあると推察します。小麦は、表面にクリーズ(粒溝)という凹んだ部分があり、異物がたまり易い構造になっています。よってそのまま製粉すると異物も一緒に挽き込んでしまい、それが雑味の原因となります。食味の低下を防ぐ一つの方法は、それぞれの部位を分別処理することです。つまり胚乳は小麦の中心部分、そしてふすまはきれいで大きなふすま片を使用し、その後再構成すれば、栄養素は全粒粉とほぼ同じになり、食味も改善されます。

ブラウワー全粒粉は、このコンセプトを基に開発されました。簡単にいうと、小麦の中心部分のきれいな胚乳部分と、雑味のない大きなふすま片だけを使用し、それらを再構成したハイブリッド小麦全粒粉です。そしてブラウワー全粒粉の開発意図を明確にするために、弊社では、次の2件の製造特許を取得しました。

【1】特許第5568335号「焼成食品用食物繊維、およびそれを配合した焼成食品用小麦粉組成物」
焼成食品というのは、パンやクッキーなど焼いてつくる食品の一般的な名称です。またこの焼成食品用食物繊維とは、ブラウワーに使用する雑味のない大きなふすま片を指します。そして焼成食品用小麦粉組成物とは、小麦粉と雑味のない小麦ふすまを混ぜ合わせた「ふすま入り小麦粉」のことです。雑味をカットすることで食味が改善され、食物繊維の摂取が容易になることが特許の概要です。ブラウワー全粒粉は、通常の強力粉と比較すると、膨らみはやや小ぶりですが、雑味のない風味たっぷりのパンに焼き上がります。

【2】特許第6581764号「微粉砕ふすまを配合した小麦粉組成物」
ここでは特に微粉砕した小麦ふすまに着目し、うどんにも応用できることを意図しました。小麦ふすまの主成分は、食物繊維です。これは「焼成」するとパリパリになり口に入れても違和感はありませんが、ゆでただけでは変化しません。つまりうどんにふすま片が入ると、ゆでた後もこのふすま独特の「イガイガ感」が残り、食感が低下します。しかしふすまを微粉砕することで、その欠点を解消できます。最初は、「単に小麦粉と微粉砕ふすまを混ぜただけ」と解釈され、新規性は認められませんでしたが、「雑味のないふすま」である点を訴求し、特許として認められました。これを利用した製品が「ブラウワー全粒粉」および「全粒粉うどん」です。

ブラウワー全粒粉と全粒粉うどん

ブラウワー全粒粉と全粒粉うどん

ブラウワー全粒粉および全粒粉うどんには次のような特長があります:
①小麦粉の11~12%相当を小麦ふすまに置き換えているので、同じ量を摂取しても小麦粉を11~12%カットできます。
②カットした11~12%はそっくり小麦ふすまで代替されるので、不足しがちな食物繊維が充分に摂取できます。
③小麦特有の雑味をカットし、小麦本来の風味が味わえます。
④添加物や副原料は一切使用していません。原料は100%小麦です。

ブラウワー全粒粉は、既に好評発売中です。一方、全粒粉うどんは試作段階ですので、現在は、アマゾン店でのみテスト販売を行っています。みなさんのご感想を参考にさせていただき、製品化を検討したいと考えています。