#753 名医が教える 高血圧 自力で下げる方法(苅尾七臣著)

高血圧といえば、ご承知のように代表的な生活習慣病のひとつです。日本全体では約4,300万人がいると推定され、これは日本人の3人に1人に相当します。今や高血圧は国民病といっても過言ではありません。そこでタイトルの本が目に止まり、一読しました。明快に書かれているので、サクサク読めて、合点がいく点もいくつかありましたので、独断で簡単にまとめてみました。

日本高血圧学会による高血圧の定義は、「診察室血圧140/90mmHg以上」もしくは「家庭内血圧135/85mmHg」。両者に違いを設けている理由は、一般に家庭ではリラックスし、診察室では緊張するからです。以前は、「160/100mmHg以上」と規定されていた時期もありましたが、科学的な知見の結果、現在の定義となりました。

ところで普段は、漠然と「最高血圧」、「最低血圧」とよんでいますが、わかりやすくいうと次のようになります。心臓はポンプとして全身に血液を送っていますが、ギュッと収縮して、全身に一気に血液を送り出すとき、動脈にかかる血圧を、「収縮期血圧」もしくは「最高血圧」といいます。そして心臓が拡張して、血液を取り込み、再び次の収縮が始まる直前の最も低くなったときの血圧が、「拡張期血圧」もしくは「最低血圧」です。

血圧は年齢と共に変化します。最低血圧は、55歳がピークとなり、その後は低下し始めます。一方、最高血圧は、加齢と共に継続的に上昇を続けるので、高齢になるほど循環器疾患の発症しやすくなり、その結果死亡リスクも高くなります。よってどちらの血圧も大切ですが、特に最高血圧は重要で、加齢とともに注視する必要があります。私達が日常生活において血圧を下げるには、次のような方法があります。

①「減量」(肥満の解消)
個人差はありますが、体重を1kg減らすと最高血圧は1.1mmHg、最低血圧は0.9mmHg下がると言われています。
②生活のリズムを整える(規則正しい生活)血圧は一日の中でも変化しますが、これをコントロールしているのが、自律神経(「交感神経」+「副交感神経」)です。朝から日中にかけては交感神経が優位に働き血圧は上がり、逆に夜になると副交感神経が優位になり、血圧が下がります。よって規則正しい生活を維持することで、血圧も正常に保たれます。
③減塩
塩分摂取量が多くなるほど血圧も上がります。日本人の1日の塩分摂取量は(H28時点)、男性が10.8g、女性が9.2g、平均では10gとなっています。1950年には、東北地方で27g、近畿地方で17gを摂取していたので、かなり減塩が進んできましたが、日本高血圧学会では1日当たりの摂取量を6g、そしてWHO(世界保健機関)ではなんと5g以下を推奨しています。ただ闇雲に減塩して、料理が美味しくなくなったのでは、意味がありません。そこで効果的な減塩方法として次のような方法があります。是非、お試しください。

1.できるだけ生鮮食料品を用いる
加工食品には、保存性を高める目的で多くの食塩(隠された食塩)が含まれています。よって自分で生鮮食品を調理することで、減塩することが可能です。
2.「うま味」や「酸味」を利用する
だしの「うま味」や、柑橘類や酢の「酸味」、「香味野菜」や「スパイス」の風味をうまく活用することで、食塩を減らしても、美味しい「減塩料理」が可能です。

最後にうどんに含まれる塩分について補足します。ゆでる前のうどんには、相応の塩分が含まれています(乾麺なら100g当たり4~5g)。この数字だけをみると、「おぉ、これだけで1日分の摂取量だ!」とびっくりするかもしれません。しかしうどんはゆでることで、ほとんどの塩分はゆで湯に溶出してしまいます。それよりもつゆを飲み干さないことが、減塩効果が大きくなります。