#852 「はるみずき」パン試食会

#851では、国産強力粉「はるみずき」をブレンドした香川県産100%うどんの試作会を実施し、「さぬきの夢」に「はるみずき」をブレンドすることで、食感、作業適性が向上することが確認されました。今後は、さらに両者の組合せ比率を細かく調整することで新製品開発を進めていくことになります。さて今回は、本来のはるみずきの用途である製パン性に着目し、パン試食会を行いました。

弊社独自では、#844にて国産3種(はるみずき、はる風ふわり、春よ恋)+1CW(カナダ産強力粉)の比較を行い、「はる風ふわり」や「はるみずき」は、食感、食味共に良好であることを確認しています。特に、どちらもその粘りあるもっちりとした食感と、その食味の良さは国産小麦としては想定以上で、カナダ産1CWと比較しても遜色ない品質でした。今後は、この品質をなんとか維持してほしいところですが、懸念すべきは、日本特有の温帯モンスーン気候であり、収穫まで降雨に遭わないことを願うばかりです。

さて今回は、A(外麦80%+「さぬきの夢」20%ブレンド)、B(はるみずき80%+「さぬきの夢」20%ブレンド)、C(はるみずき100%)の3種を使用し、食パンの試食会を実施。50名のテスターに簡単なアンケートを実施した結果、外観:A>C>B、食味:C>B>Aという結果になりました。つまり外観については、外麦主体の食パンがボリュームもやや大きく角が立ち好印象でしたが、食味については「はるみずき」に軍配が上がりました。特に「はるみずき」のモチモチ食感が評価されましたが、これは弊社の結果(#851)と同じでしたので、「モチモチ食感」は「はるみずき」の特徴と考えてよさそうです。

余談ですが、今回のテスターはほとんどが男性(48/50名)であったため、女性の意見を聞くことができず残念でした。うどんはともかくパンに関しては、女性の意見は貴重ですので、今後さらに機会を設けるよう努力します。

ところで弊社では毎日HB(ホームベーカリー)を使用して食パンの試作を行っています。2台がフル稼働しているので、毎日4~6斤の食パンが焼き上がります。HBの良いところは操作が簡単であるのに加え再現性が高いことです。つまり異なる小麦粉を比較するにはもってこいです。とは言うものの、同じ小麦粉でありながらタイマーセットして翌朝焼き上がったパンと当日焼いたパンとでは異なることがあるし、同時にセットしても、焼き上がりの高さが違うこともあるので、パンづくりはつくづくデリケートであると感じます。

現在稼働中のHBはかなり旧式ですが、まだまだ現役バリバリで頑張っています。内側のパンケースは毎年のように交換していますが、本体自体は全く問題なく稼働しています。ただ旧式であるため環境の変化には対応できず、夏場には過発酵防止のために冷水を使用するなどの工夫が必要です。一方、最新式HBには、温度や湿度などの環境条件の変化に対応可能な自動調整機能を備えているタイプもあり、高温多湿な夏場でも、正確に温度管理を行い、適切な発酵時間を調整することができるそうです。できれば自動調整機能付きの最新式HBを試して最新技術を体感してみたいのですが、まだしばらく先のことになりそうです。

HBは材料一式を投入し、タイマーをセットすれば好きな時間にパンが焼き上がります。うどんについても小麦粉、塩、水を投入したら、うどんができあがる、全自動タイプの自動製麺機・ホームヌードルメーカーなるもをどこか開発してくれないものかと期待せずにはいられません。]