#863 そうめん専門店「そそそ」

先日、小豆島で開催された第3回そうめんサミットのイベントのひとつとして、「そうめんが生き残るために ~そうめんの未来を切り拓くヒントとは?~」と題し、公開討論会も開催されました。そしてそのパネリストのひとりが、東京でそうめん専門店を3店舗展開されている「そそそ」のオーナーでした。実は、「そうめん専門店」と聞いたとき、「果たして季節性の高いそうめんに特化した一本足打法経営が可能なのだろうか?」と正直思いました。と同時に「他に同様事例がないだけに、人口の多い都市部であればいけるかも?」とも感じましたが実際のところよくわかりません。そこで百聞は一見にしかずということで、先日上京の折にそうめん専門店なるものを体験してきました。

今回チャレンジしたのは、「日比谷OKUROJI店」。OKUROJIとは聞き慣れない言葉ですが「奥路地」と書きます。有楽町駅~新橋駅間にある歴史的煉瓦アーチ高架橋をJR東日本が再開発。その結果、高架下空間には新たな通路が開通し、こだわりの物販・食物販14店舗に加え、飲食16店舗が誕生し、そうめん専門店「そそそ」はその内の1店舗です。恥ずかしながら東京のど真ん中に300mもの異次元高架下空間があるとは、全然知りませんでした(恥!)。

サイトのトップページには、「『そそそ』は、小豆島手延そうめん「島の光」に出会い、そうめんの新しい可能性を感じ、そうめんの魅力を伝えるためにオープン」と開店に至った経緯の説明があります。その言葉に違わず、メニューには、星の数ほどのそうめんメニューが並んでいて、なかなか決められません。つけそうめん、ぶっかけそうめん、にゅうめんなどは順当ですが、それ以外に和風そうめん、パスタ風そうめん、エスニックアジア風そうめんなどのグループにおいて様々な個別メニューが展開されていて、どのメニューを注文していいのか、皆目検討がつきません。

①バジルトマトつけそうめん

結局、迷った挙げ句、変わりつけそうめんから「①バジルトマトつけそうめん」、パスタ風そうめんから「②明太クリームそうめん」、そしてエスニックアジア風そうめんから「③牛バラとクレソンのベトナム風そうめん」、の3種をチャレンジ。①はトマトとバジルにオリーブオイルが入ったつけ汁にそうめんがよく絡み清涼感たっぷりのそうめんでした。②は和風だしをベースにした特性クリームソースとたっぷり明太子を合わせた濃厚なクリームソースにそうめんがよく絡みます。そうめんサミット討論会で、オーナーが「めんたいクリームそうめん(温)が人気メニューです」と仰っていましたが、なるほど納得の一品です。ただ麺が細いため、めん同士が絡みやすく、この点が解消されれば完璧な一品かと。

②明太クリームそうめん

③は煮込んだ牛バラとナンプラー・レモングラス・コブミカンを効かせたエスニック風そうめん。クレソンの苦味とエスニックなスープのバランスがそうめんを引き立てます。簡単にいうとベトナムの国民食フォーのそうめんバージョンです。そうめんサミットのテーマは、「そうめんは宇宙だ!」でしたが、なるほどそうめんのレシピには、様々な展開方法があり、まだまだ知らないことばかりでした。

③牛パラとクレソンのベトナム風そうめん

夏にはすっきりとした涼感そそるそうめんの定番需要があるので、それ以外に新たにレシピ提案ができればそれは通年商品として更に上乗せが可能です。よって二刀流でがんばれば、需要を喚起することは可能で、まだまだ成長の余地はあると感じました。ただ世の中にはライバルがたくさんいるので油断は禁物です。飽食の時代といわれる現在、美味しい食品はごまんとあります。加えて、加工技術、保存技術、流通技術の発達により、単一食品でのメガヒットは難しくなりつつあります。うどん、パスタ、そば、ラーメンなどに負けないようこれからもそうめんをよろしくお願いします。