#872【新発売 香川県産強力粉「はるみずき」】
これまでうどん県で生産されていた小麦は、うどん専用の「さぬきの夢」一択でしたが、近年の作付面積増加に伴い、供給力に余裕がでてきました。そこで昨年、日本農研が育種した温暖な地域に適した硬質小麦「はるみずき」を試験栽培したところ、上々の結果が得られましたので、今年から「さぬきの夢」に加え、「はるみずき」の生産も開始しました。今後、需要に応じて「はるみずき」の生産を徐々に拡大していく予定です。
弊社でも先日、「はるみずき」を製粉しましたので、この度、香川県産強力粉「はるみずき」を発売することになりました(新しい小麦の製粉は、「さぬきの夢2009」以来14年ぶりです)。「はるみずき」の利用方法は、主として【1】香川県産パン用小麦粉と【2】「さぬきの夢」にブレンドすることでうどんの作業適性を向上させることですが、以下簡単に説明いたします。
【1】香川県産小麦100%使用による強力粉
これまで国産小麦の用途といえば和風麺用でしたが、近年様々な品種の開発が加速され、特にパン・中華麺用小麦の生産が増加し、直近では国産小麦での占有率が26%にまで伸長しました(#869)。従来、国産パン用小麦といえば「春よ恋」が有名ですが、現在では、「ゆめちから」、「ゆめあかり」、「せときらら」、「はる風ふわり」、「ニシノカオリ」、「ゆめかおり」、「はるみずき」など全国それぞれの地域の天候に適した品種が開発されています(#845)。
「はるみずき」は、温暖な地域での栽培が適した品種であるので、香川県の気候風土にもマッチしています。弊社でもこれまで何度か「はるみずき」食パンを試食していますが、評判は上々です。現在、パン用小麦としてはカナダの1CW(#1 Canada Western)が品質的には世界最高と評価され、業界標準となっています。製パン性において比較すると、「はるみずき」は1CWよりボリュームで少し小さいものの、独特のもっちりとした粘りのある食感と深い味わいが、社内では高く評価されました。
【2】香川県産小麦100%うどんの作業適性の向上
従来の「さぬきの夢」に「はるみずき」を加えることで、香川県産小麦100%使用のうどんのバリエーションが大きく広がります(#851)。弊社でも「はるみずき」のブレンド比率を色々試してみました。好みにもよりますが、25%ブレンドでは多少食感が硬く感じることもあり、15%程度が良好であるという結論になりました。
「はるみずき」はタンパク質が多いので、適度にブレンドすることで作業適性が大きく向上します。具体的には、熟成工程における緩衝力が大きくなります。つまり熟成時間に幅を持たせることができ、結果、宵練りも可能となります。さらに特筆すべき点は、ゆで後の短麺、つまりうどんの切れ端がなくなったことです。「さぬきの夢」はタンパク含有量が少なめなので、うどんの「つなぎ力」が低く、ゆでるとどうしても短麺が目立っていました。しかし強力粉「はるみずき」をブレンドすることで「つなぎ力」がアップし、結果、短麺は見られなくなりました。これは非常に評価すべきポイントだと考えます。今後は、うどん専門店に対して、様々なご提案ができることになり、香川県産「はるみずき」に大きな期待を寄せています。
【新商品「はるみずき」3種 2023年9月発売】
①はるみずき1kg×3袋(商品コード:FD-03)
②はるみずき12kg紙袋(商品コード:FD-12)
③はるみすき25kg紙袋(商品コード:FD-25)
①はご家庭用ですが、②、③は大容量なので業務用もしくはヘビーユーザー用となります。弊社「はるみずき」の商品コードは、FDで始まりますが、FはFlour(小麦粉)、DはDogwood(ハナミズキ)を表します。ハナミズキの英語名dogwood(犬の木)は、お花のイメージとは結びつきませんが、この意外な名前は、ハナミズキの樹皮の煮汁が犬の皮膚病治療やノミ退治に使われたことが由来だそうです。強力粉「はるみずき」を末永くよろしくお願いいたします。