#888 2023年今年の三大ニュース

早いもので今年もあと数日を残すのみとなりました。今年も皆様には一年間お世話になりました。この場をお借りして厚くお礼申し上げます。
さて今年も諸物価高騰に歯止めがかかりませんでした。昨年の小麦粉、てんぷら油、包材、燃料代など高騰に加え、今年は、電気料金も大幅値上げなりました。また5月にコロナ5類移行後は、労働力不足が顕著になり、パートのやりくりがつかず臨時休業を強いられるお店も目立つようになりました。来年はなんとか平穏な年に戻ってもらいたいと願うばかりです。
さて例によって今年の業界3大ニュースを独断でチョイスしました(香川県内の10大ニュースは最後にアップ)。それではみなさんどうか良い年をお迎えください。来年もよろしくお願い致します。

【2023年独断の業界3大ニュース】
① 小麦価格のさらなる上昇
ご承知のように外国産輸入小麦は、現在半年毎に政府の売渡し価格が改定されています。小麦の国際価格の高騰をうけ、国内の小麦粉価格は、①2021年6月②2021年12月③2022年6月④2023年6月と4回連続で上昇し、値上げ幅の累計は1,000円(25kg換算)を突破しました。実は通常であれば2022年10月期の小麦売渡し価格も値上げの予定でしたが、製粉が食品値上りに対する緊急措置をとった結果とった結果、据置きとなり、2022年12月期の小麦粉価格は据置きとなりました。尚、2023年10月期の小麦価格は2年半ぶりの値下げとなった結果、小麦粉価格は2024年1月には値下げの予定です。

②「さぬきの夢」3代目の登録品種名は、「さぬきの夢2023」に決定(#881)
うどん県の池田知事は2023年10月30日の定例会見で、香川県オリジナル小麦の新品種の名称が「さぬきの夢2023」に決まったことを明らかにしました。改めて言うまでもなく、香川県産小麦「さぬきの夢」は、香川県農業試験場がさぬきうどんのために開発した小麦の総称です。初代「さぬきの夢」は2000年に登場した「さぬきの夢2000」、そして現在は2代目の「さぬきの夢2009」が流通しています。2代目「さぬきの夢」が登場してから、既に10年以上が経過し、そろそろ次期「さぬきの夢」の登場が待たれるところでした。新たに開発される「さぬきの夢」の新品種は、命名規則としてその開発された西暦年20XXが付与されることになっていますので、今年が開発年となり「さぬきの夢2023」が命名された次第です。

香川県は、「さぬきの夢2009」登場以降も、製粉、製麺業者などの声を受けて新品種の開発を進め、タンパク質含有量が多く粒張りの良い品種「香育33号」を有望系統に選定。そして今年7月に品種登録の出願を行い10月30日付で官報に告示されました。今後は、「さぬきの夢2009」から「さぬきの夢2023」へと順次切り替わりますが、予定としてはR6(10ha≒30㌧)、R7(100ha≒300~350㌧)、R8(900ha≒2,700~3,150㌧)、そしてR9には全面切り替えとなります。

③パン用硬質小麦「はるみずき」の生産始まる(#872)
これまでうどん県で生産されていた小麦は、うどん専用の「さぬきの夢」一択でしたが、近年の作付面積増加に伴い、供給力に余裕がでてきました。そこで昨年、日本農研が育種した温暖な地域に適した硬質小麦「はるみずき」を試験栽培したところ、上々の結果が得られましたので、今年から「さぬきの夢」に加え、「はるみずき」の生産も開始しました。今後、需要に応じて「はるみずき」の生産を徐々に拡大していく予定です。

「はるみずき」は、温暖な地域での栽培が適した品種であるので、香川県の気候風土にもマッチしています。弊社でもこれまで何度か「はるみずき」食パンを試食していますが、評判は上々です。現在、パン用小麦としてはカナダの1CW(#1 Canada Western)が品質的には世界最高と評価され、業界標準となっています。製パン性において比較すると、「はるみずき」は1CWよりボリュームで少し小さいものの、独特のもっちりとした粘りのある食感と深い味わいが、社内では高く評価されました。