#919 令和6年産香川県産小麦は不作(泣)
R6年7月31日に「第26回香川県麦民間流通地方連絡協議会」が開催され、今年の香川県産小麦の作況等についての報告がありました。この協議会の目的は、国産小麦の円滑な流通及び需要に即した良品質麦の生産を促進、つまり簡単に言うと、生産者と実需者が協力して国産小麦の需要拡大に努力しましょうということです。結論から言うと、ここ数年は豊作が続いていた香川県産小麦ですが、今年は一転不作となりました。晴れの日もあれば雨の日もあり、自然相手のことなので致し方ないところです。以下は今協議会のダイジェストです。
【令和6年産小麦の結果】
R6産小麦の播種は11月上中旬の降雨によりやや播種時期が遅れ、作付面積は昨年(2,536ha)より64ha減の2,472haとなりました。播種期以後は暖冬で推移し、3月は一時低温傾向でしたが、4月以降は再び高温で推移。降水量については、2月下旬以降、特に3月4月は降水量が多く、その結果、湿害が発生したため根が傷み、下葉の枯上がり(下部の葉が枯れる現象)や枯熟症状(成熟期に入ると、葉が急速に枯れ始めるため穂や子実が不良なる現象)が発生したために、収量は平年を大きく下回りました。
具体的な数字でいうと、「さぬきの夢2009」の集荷数量は、8,232t(予想)↓5,600t(実績)となり、その結果、単収は239kg/10a(予想の68.0%)と大きく減少しました。またパン用硬質小麦「はるみずき」については、124haを耕作し454tを収穫(単収は366kg/10a、予想の75.7%)、そして「さぬきの夢2009」の後継品種である「さぬきの夢2023」は6ha耕作し、21tを収穫しました。尚、単収が68.0%と大きく減少した最大の要因は、湿害の発生ですが、それ以外にもカントリーエレベータにおける精選篩いの目開きを広くし、優良麦確保を優先したために歩留まりが下がったことも挙げられます。
【今後の方向性】
ここ数年は、小麦の耕作面積が順調に拡大した結果、「さぬきの夢」の供給量にゆとりがでてきました。そこで受給改善の取組みとして、昨年より始めたパン用硬質小麦「はるみずき」の耕作を今後拡大し、「さぬきの夢」の耕作面積を削減します。種子が確保できれば、R7年産「はるみずき」は、200haまで拡大を予定し、将来的には大川地区全体となる400haまで拡大予定です。また「さぬきの夢2009」の後継品種である「さぬきの夢2023」については、R5産・R6年産は5haの播種でしたが、R7産は129haの播種を予定しています。
【国産小麦の宿命】
「さぬきの夢」に限らず、日本国内で生産された国産小麦は、すべて日本国内で消費されます。もちろん規格外は除外されますが、規格内であればすべて売買され製粉されます。よって豊凶変動(豊作・凶作による品質の変動)による品質への影響は避けられません。一方、外国産小麦については希望する銘柄の希望する規格の小麦を自由に購入可能なので、いつも品質が保証され、この点が国産小麦との大きな違いとなります。
凶作年は、充分な数量が確保できないだけでなく、品質自体の低下も避けられません。よってこの品質低下は、小麦粉にも反映されることになります。しかし豊作年は品質が良くて、凶作年は品質が悪いというのでは、末端ユーザ(うどん店)にとっては使いづらい商品となります。この豊凶変動の影響を避けるひとつの方法は、両者の小麦を混ぜ合わせて(混麦)製粉することです。こうすれば低品質小麦の影響を和らげることができます。そしてそのためには、年をまたいだ保管計画が必要となります。