#929 香川県立アリーナ(あなぶきアリーナ香川)2025年2月24日開館予定

現在、建設が大詰めを迎えている香川県立アリーナは、2025年2月24日にうどん県の新たなランドマークとして開館予定です。この香川県立アリーナは、地元企業がネーミングライツを取得したのに伴い、今後は、「あなぶきアリーナ香川」という愛称で呼ばれることになります。ちなみにネーミングライツとは、「公共施設の名前を付与する命名権と、付帯する諸権利」のことです。以下簡単に、このあなぶきアリーナ香川についてご紹介します。

JR高松駅北側、そして瀬戸内海に面するあなぶきアリーナは、今後スポーツ、エンターテイメント、文化活動の中心的な施設として運用される予定です。メインアリーナの固定席は、中四国最大の5,024席(最大収容人数10,000人)を誇り、エンドステージ、センターステージなど多彩なレイアウトが可能です。コンクリート床のメインアリーナは直接大型トラックの乗入れが可能で、スポーツ利用時は、ポータブルフロア(木製床)の設置、および移動式可動席の利用も可能です。さらに周辺には、国際会議場やホテルなどの施設が集積するため、アリーナは大規模MICE(Meeting(企業会議・研修)、Incentive Travel(報奨・研修旅行)、Convention(会議)、ExhibitionまたはEvent(展示会・イベント)などのビジネスイベントの総称)にも対応可能です。

アリーナ(延床面積31,212㎡、建築面積18,950㎡)は、メインアリーナ(固定席5,024席)とサブアリーナ(固定席1,002席)から成り、その緩やかな曲線美は、サンポート高松とやさしく調和します。先日、開館120日前イベントとして、アリーナを瀬戸内海から眺めるアリーナビュークルーズに参加しました。高松港を出港して付近を1時間程度回る簡単なツアーでしたが、瀬戸内の風は心地よく、瀬戸内からみたアリーナは、まるで「ひょっこりひょうたん島」のようにも見えました。

船から高松方面を見ながら、かつてはこのサンポート付近からは高松と岡山県宇野を結ぶ宇高連絡船が就航していたのを思い出しました。当時は、これが香川県と岡山県を結ぶ主要な交通手段であったことを思うと、隔世の感があります。連絡船に乗船するやいなや一目散でデッキにあるうどん屋にダッシュしました。単にうどん玉を湯煎しただけのかけうどんですが、これが妙に旨い。特に帰省時に宇野港から乗船したときのうどんの味は格別で、「やっと讃岐に戻ってきた!」という気持ちを実感したのを覚えています。残念ながらこの宇高航路も、1988年瀬戸大橋線の開業に伴い、四国は本州と陸続きとなり廃止となりました。

ところで旧香川県立体育館は、戦後建築を代表する建築家・丹下健が設計。総工費2億1550万円をかけた鉄筋コンクリート造、地上3階地下1階の体育館は、1964年8月10日高松市福岡町に竣工しました。この体育館は、国立代々木競技場と同じ「つり屋根構造」が用いられ、その和船のような特徴的な屋根から「船の体育館」として、永い間親しまれてきました。しかし2012年7月の耐震調査により、天井板が落下する危険性が指摘され、体育館の使用中止に至りました。

その後、2013年度に耐震改修工事の入札が3度実施されましたが、屋根の特殊な構造からいずれも不調に終わり2014年9月末にやむなく閉館しました。ただ貴重な歴史的建築物であるため、閉館後もその保存や再活用の方法が模索され、2021年には有効活用に向け、香川県教育委員会が「サウンディング型市場調査」を実施。しかし結果は、民間の9事業者から活用案が10件寄せられたものの、条件を満たす案はなくまたもや不調。その後も存続を求める声は後を絶ちませんが、残念ながら2023年2月に解体方針が決まりました(泣)。解体費用は現時点では10億円程度が見込まれています。解体費が総工費の5倍とは異常ですが、現在のアリーナ建設費が202.1億円と聞けば仕方ないのかもしれません。