#849 さぬきうどんの価格@2025年
地元紙(四国新聞)が実施しているかけうどんの価格調査@2025年2月の結果が発表されました。今回の調査は2022年6月以来、2年半ぶり。前回調査時からの値上げ幅は①セルフ・製麺所(48.7円)、②一般店(36.4円)、③全平均(46.1円)といずれも調査開始以降、最大の値上げ幅となりました。直近2回の値上げ幅が、18.4円、21.3円でしたので、今回はその2倍以上となりました。原材料価格の値上げもさることながら最低賃金の引き上げにより賃金も上昇したので、今回の値上げを命名すると「原材料価格高騰+賃金上昇」によるWパンチ値上げとなります。
具体的な値上げの理由を各店舗に尋ねたところ、①小麦粉価格高騰(91%) > ②光熱費の上昇(82%) > ③食用油の上昇(66%) > ④野菜・肉の高騰(59%) と続きました。また「昆布やいりこの高騰」、「削り節価格が4年間で1.4倍、煮干しは1.7倍に上昇」、「最低賃金引き上げによる人件費の高騰」なども大きな理由です。値上げ理由の一番手に小麦粉価格上昇が挙げられていますが、実際はそれ以外の値上げの影響の方が大きいのではないかと、製粉メーカーとしては考えています。小麦粉はうどんの主原料であるので、消費者の理解を得られやすい理由ではありますが・・・。
うどんの価格調査は今回で8度目。この調査においてうどん店は、セルフ・製麺所と一般店の2種に大別されます。理由は、前者は省力化が可能であるのに対し後者はフルサービスであるため人件費がかさみ、その結果うどんの価格が異なるからです。このうち「製麺所」というカテゴリーは、元来製麺所の片隅でうどんを提供する形態をさします。製麺所とはもちろん製造したうどん玉をスーパーやお店に配達する営業形態ですが、今ではほとんど見ることがなくなりました。理由は、小規模では生産効率が低いために大手製麺会社に集約されたためです。よって今や製麺所タイプのうどん店は僅かで、絶滅危惧種となり貴重な存在です。尚、過去の価格調査時の時代背景は、以下の通りです。
【2011年の値上げの理由・・・小麦価格の高騰】
当時の記事をみると、小麦価格の高騰がうどん価格の値上げの原因と断定しています。この頃は干ばつによる世界の小麦生産が落ち込み、国際価格が大きく上昇しました。ただその後ほどなく、小麦の国際価格は平均的な価格に戻りましたが、うどんの価格はそのままでした。尤も小麦価格は元に戻っても、諸経費はアップしているので、仕方のないところではあります。
【2014年の値上げの理由・・・消費税アップ】
この年の値上げは、2014年4月1日に消費税が5%8%にアップしたことが原因です。尚、セルフ・製麺所の価格は199.4円でしたので、この年を境に200円以下のセルフうどんは、減少することになります。
【2019年の値上げの理由・・・消費税アップ】
値上げの理由は、消費税が8%10%にアップしたことです。前回の消費税アップ時(2014年)には、一般店は我慢しましたが、今回は形態を問わず大幅アップとなりました。最新のうどん価格は、セルフ・製麺所が224円、一般店が339円、そして全平均が258円となりました。
【2022年の値上げの状況】
3つの要因①ウクライナ危機②原油高③円安によりうどん価格が上昇。従来の値上げと異なる点は、値上げがこれで終了したわけではなく、引き続きの値上げが予想されることです。小麦粉もさることながら、それ以上に食用油、食肉の値上げが大きく、「肉うどんは売れば売るほど赤字」というお店も多く、どこのお店も対応に苦慮しているようです。多少値上がった感のあるうどん県のうどんですが、相変わらずコスパは良好で、「この価格で本当に経営できるのか?」とこちらが心配するような良心的なお店もあります。