#952 めん類生産量@2024(R6)
令和6年(2024)の各種めん類生産量が発表されました(右下画像参照)。前年(R5)と比較し、総生産量は99.82%と微減。乾めん(103.92%)とマカロニ類(104.38%)が増加したのに対し、生めん(98.24%)、即席麺(99.15%)は微減となりました。
【乾めんの生産量20万トン回復】
近年、減少傾向が続いていた乾めん市場は、一昨年にはとうとう史上初めて18万トンを割り込みましたが、昨年はようやく歯止めがかかり18.7万トンとやや持ち直しました。このままV字回復する可能性はなくこの辺りが現在の乾めんの評価であろうと推測します。かつては36.4万トンを記録した昭和の最盛期とは、隔世の感がありますが、これは別に乾めんの魅力が薄れたわけではありません。①製造②包装③流通・保管のそれぞれの段階における技術革新の結果、様々なタイプのめん類の製造が可能となり、食の多様化が進んだ結果に過ぎません。真夏にすするそうめんの清涼感に勝る食品は他になく、乾めん類は今後とも安定的に支持されると考えます。
正確に言うとR6の乾めん製造量は18.6929万トン(小麦粉換算量)ですが、これにそば粉使用量1.2947万トンを加算すると19.9876万トン、つまり20万トンとなり、タイトルの「乾めん生産量20万トン」となります。そば粉使用量を乾めん生産量に算入するかどうかで、生産量はかなり変化しますので、少々紛らわしい点もありますがご容赦ください。
ところで乾めんの品目別生産量に着目すると、①手延そうめん(23%)>②そば(23%)>干し中華(15%)>そうめん(13%)>うどん(12%)と続きます。手延そうめんは乾めんの中では高額ですが、手延独特の喉越しの良さが支持され根強い人気を維持しています。ただ文字通り手作業が多く、近年人件費上昇の影響を受け、価格上昇が続いている点が気がかりです。ひやむぎは、そうめんと並んで夏の定番ですが、長期的には減少傾向です。個人的には、細いそうめんよりも太めの噛み応えのあるひやむぎが好みですが、そうめんとうどんのはざまで存在感が薄れているのかも知れません。
乾めんの中で、近年存在価値がアップしている品目は干し中華です。こちらは一般には棒ラーメンとして流通している品目で、乾めんというよりはラーメンの1アイテムと捉えるのが適切かもしれません。一方、うどんは、乾めん独特の食感が魅力的ですが、15~18分というゆで時間が少々敬遠されているようです。そこで最近は各社とも、細うどん、早ゆでタイプを開発し需要喚起を図っています。
【パスタ(マカロニ類)】
R6のパスタ生産量は16.8万トンと、乾めんよりも若干少ないため、パスタ市場は乾めん市場と同程度かと思うかもしれませんがそうではりません。実はパスタについては国内生産量とほぼ同量を輸入しているために総供給量は30万トンを超えているので、パスタ市場は乾めん市場の1.5倍となります。スーパーの売り場でも、乾めんよりもパスタの存在感が大きいように感じますが、それは市場規模の違いのせいだと思います。
【冷凍めん】
冷凍めんはSDGs的な商品ではありませんが、簡便性が受け、市場は順調に伸びています。色んな冷凍めんがありますが、うどんが多くを占め、冷凍めん≒冷凍うどんといっても過言ではありません。理由は、言うまでもなくうどんが調理時間短縮の恩恵を受けるからです。昨年(R6)は、全体で20.5億食が生産されたので、国民一人当たり毎月1.7食ほどになります。業務用がほぼ半分を占めているので、気づかないうちにレストランやサービスエリアで利用しているかもしれません。なお、冷凍めんは上記めん類生産量の中では、「生めん」76.7万トンの内数となります。