2005年6月のお知らせ

楽しみに待っていたゴールデン・ウイークも過ぎていきました。学校・職場など新しい生活に慣れてきた方も多いでしょう。と同時に、夢・現実・目的・不安などが交錯してくる時期ではないでしょうか。

イギリスのJ.K ローリングの魅力的で笑いにあふれるデビュー作「ハリー・ポッターと賢者の石」。主人公のハリー・ポッターは孤児。叔父・叔母さんたちに育てられていましたが、11歳の誕生日を迎えようとしたとき、ボグワーツ魔法学校から入学許可証が届き、自分が魔法使いだと知ります。ハリーの未知の世界への冒険が始まります。

松岡祐子(まつおかゆうこ)さんはハリー・ポッターの日本語版の翻訳者です。12歳で英語を始めて、英語の発音の美しさに魅了されました(小さいときから五感を豊かにしていたお蔭でしょうか)。そして英語を通じて知らない文化・異なった人間関係のあり方に触れることに興味をもち始めました。ハリー・ポッターの原書と出会ったのは、「まるで魔法のような巡り合わせだった・・・」とおっしゃいます。

小さな出版社を経営していた主人が亡くなったあと、イギリスに住む親しい友人に相談に行きました。これからどんな本を出版しようか・・・と。主人は、「こんな儲からない仕事は続ける必要はない。会社をつぶせ・・・」という言葉を残しました。でも、彼が命を懸けてやっていた仕事ですから、私は引継ぎました。友人は、「祐子、これだよ。今、イギリスで一番ホットな本だ」と見せられたのがハリー・ポッターでした。それは多分、天国から操作された魔法ではなかったかと思います。そこから、私のハリー・ポッター物語が始まりました。

万に一つも無理だと思ったハリー・ポッターの出版権を、「あなたに決めました」というメール一本で獲得した魔法。5年間で1999万部という部数を達成しました(主人がしていたのは、1000部売れば良いという出版でした)。でも魔女は一夜にて誕生した訳ではありません。子どもの頃に感じた空と空気、植物や動物と親しんだ思い出などが、魔法の世界への入り口になっていると思います。自然を見るということは、魔法を知ることだと思います。

幼い頃から、耳で聞いて、目で見て、肌で感じて、味覚や触覚などの五感を楽しむことが、将来の豊かな人生の糧になると思います。英語からの翻訳の仕事には、日本語が重要です。言葉には色があって、香りがあって、味があって、リズムがあって、肌触りがあります。彩り豊かに、情感豊かに使いたいと思います。翻訳に使った私の原書を見て、著者のローリングが言いました。「こんなにボロボロになった本は見たことがないわ。気に入った」。ローリングの賞讃の言葉は、小さい頃からの私の努力に対して与えられたものだと思います。

6月のお休みは 25日(土曜日)、
   それと日曜日です。

田植えの準備の季節になりました。日差しも強くなってきました。戸外で過ごすときは、帽子をかぶりましょう。「つば」の広い麦わら帽子が大好きです。おからだを大切になさってください。

木下製粉株式会社会社  平成17年6月4日