2011年6月のお知らせ

楽しみに待っていた、五月の連休も過ぎました。明るい笑顔で出勤してきた同僚たちの顔を見て、安心しました。小学生の子どもたちの制服が半袖になりました。ブラウスの白い色が、朝の太陽の光に輝いて眩しい。

映画といえば、映画評論家の淀川長治さんが「映画を見ることは、人生を2倍、楽しむことができますよ」と言われた言葉が印象的です。久しぶりに映画館に足をはこびました。「英国王のスピーチ」という史実に基づいた物語です。誰もが「自分自身の心の中に、自信が持てない一面」に悩みを持っています。主人公の英国王は、(現在の英エリザベス2世の父君である)ジョージ6世(在位1936-1952)。幼い頃から人前で話すと、言葉に詰まってしまうという吃音症に悩んでいました。

人前で話す事が、苦手。対照的に兄のエドワード8世(在位1936)は気さくな人柄で、新しい王室のヒーローとして人気を集めました。しかし、兄のエドワード8世は即位するや否や、アメリカのウオリス・シンプソン夫人との結婚を決意。戴冠式もしないまま1年足らずで退位します(「王冠を捨てた恋」という逸話で有名です)。

そして、ジョージ6世は心の準備のないまま、王位に就きます。世界的な不況が続く中、1933年にヒトラーがドイツの首相に就任、1936年にはスペインの内戦が勃発しました。ヨーロッパ情勢が不安定な背景のもとで、「国民に信頼感を与え、英国を存続させる」という重い責務が英国王に課せられました。そしてジョージ6世は吃音症を矯正する治療者、ライオネルの家を訪ねます。

ライオネルは「ここでは、お互いにファースト・ネームで呼び合おう。診察室では私たちは、平等だ!」と穏やかな雰囲気を作ります。吃音症は心の問題だと考えたからです。映画の中では、自尊心・劣等感・怒り・焦り・不安が入り混じり、お互いに素直になれず、相手を傷つけたり、心が落ち込んだりします。一度は治療をやめてしまったジョージ6世ですが再び、ライオネルを訪ねます。2人はお互いに離れている間、心の中で自分を責め、自分の(言った)言葉に傷ついている事に気づきます。

そして1939年9月3日、ドイツに宣戦布告した晩、ジョージ6世は国民に向けて感動的なラジオ演説を行います。演説の間、ライオネルは始終、国王の傍らで「身ぶり・手振り」を交え、国王の表情を和らげようとします。「私はいま、あなた方の家の戸口を訪ねているように、国民の一人ひとりに、お話しします。(中略)・・・困難で暗い日々が続くでしょう。この試練に立ち向かって、落ち着いて、断固として譲ることなく、団結しましょう」と語ります。

演説の後、国王は娘のエリザベスに言います。「スピーチ、どうだった!?」「パパ、Wの発音が少し、詰まっていたけれど、よかったわ」。映画はこの場面で終わります。この後、第2次世界大戦が始まり、首都ロンドンはドイツ軍の空襲が激しくなりました。政府は国王夫妻に疎開を求めましたが、ロンドンを離れる事を拒否しました。爆撃を受けた地域を王妃とともに訪ね、人々を慰めました。国民と王室の絆を強めることで、困難を乗り越えました(天皇・皇后両陛下が東北地方の被災地を見舞われている場面と重なりました)。私たちは、心の中でいつも「自分の不器用さや弱み」を抱えています。一人の弱い人間が、その壁を乗り越える可能性がある事を教えてくれた映画でした。

6月のお休みは 11日(土曜日)
   それと日曜日です。

「ミント」の葉っぱをいれたお茶。さわやかな香りです。友人たちと「気持ちが落ち着くね」と言いながら頂きました。雨が降り始めました。そっと耳を澄ますと、カエルの鳴き声が聞こえてきます。梅雨の季節の訪れです。おからだ 大切になさってください。

木下製粉株式会社  平成23年6月1日