2012年8月のお知らせ

梅雨の季節。とつぜん、雨が降ってきました。道端の白いガード・レールに視線を向けると、壊れた青い傘が掛けられています。「青い傘」、なんだか淋しそうです。

6月23日から、第77回香川県美術展覧会(県展)が開催されました。洋画・彫刻・工芸・書・写真・日本画の部門に、約1500人の方が応募されました。友人・同僚の作品が入選した「写真」部門を鑑賞しました。友人の入選作品「降臨」は、太陽が昇る頃(坂出市に位置する)城山から、讃岐平野に点在する山々を、写したもの。山々の深い茶色と、太陽のあざやかなオレンジ色が対照的です。決して高くはない讃岐の山々ですが、ヒマラヤ山脈を連想させるようなスケールの大きさ。雄大な自然の前に、謙虚な気持ちにさせてくれます。

同僚の入選作品「湖畔の朝」は冬の朝、(坂出市の)府中湖にて撮影したそうです。湖と空気中の温度差から生じた「朝靄」の中で、一人たたずむ釣り人を写しています。カラー写真なのに、モノクロ写真のような落ち着いた色彩。「早朝の静寂さ」が伝わってきます。知事賞受賞の「遍路道」と題された写真は、右隅に白装束のお遍路さんが歩いています。右上から斜めに射している太陽の光が、写真の大部分を占めています。白装束は一部、太陽の光に透けて「きらきら」と輝いています。自然のなかで、自己との対話をしながら歩く遍路人、そして明るい未来を感じる作品でした。

「遍路道」の写真は、ある一枚の写真のイメージと重なりました。報道写真家セバスチャン・サルガド(Sebaschiao Salgado)が1985年、アフリカ大陸の北東部に位置するエチオピアで撮った写真です。大きな木の元に、たくさんの人々が座り込んでいます。朝の太陽の光りが、木々の間から降り注いでいます。見た瞬間、「人間・生命の誕生」を思わせる写真でした。しかし、写真の人々の現実は、私の想像とはかけ離れたものでした。エチオピア空軍のミグ戦闘機からの機関銃攻撃を避けるために、夜どうし歩き続け、カレマ・キャンプに到着した何千人もの難民たちの姿でした。

サルガドは「被写体を尊敬しながら、写真を撮る」と言います。実際、サルガドはこの写真を撮るために、難民たちと一緒に、朝から晩まで歩きました。朝ごはんの支度のために、難民たちが「火」をおこし、白い煙が上がります。ちょうどその時、その一瞬、朝の陽ざしが差し込んできた時に、写真を撮ったそうです。「この瞬間は偶然でした!」。悲惨な出来事が、敬虔な瞬間に写しだされています。無礼な言い方かもしれませんが、悲惨な状況が、絵画のような美しさに撮られています。サルガドは「人間には尊厳や美しさが存在する。写真家は、人間自体が持つ力を、浮かび上がらせるだけだ」と記しています。

サルガドは1944年、ブラジルの生まれ。1971年、経済専門家として初めて、アフリカのルワンダを訪れました。しかし、訪れる度に荒廃していくアフリカの状況を伝えるために、報道写真家としての道を歩み始めました。テレビから流れるサルガドの表情は、優しい語り口・前方だけを見つめる視線、そして何事にも動じない強い眼差し。静かな強い想いが伝わってくるお人柄でした。写真展を見ながら、日常生活の中で、素敵な時間の見つけ方のヒントを教えて頂いた一日でした。

8月のお休みは 13日(月)~15(水)(お盆休み)、24日(金)25(土)(社内旅行)
   それと日曜日です。

 

今年も「お盆のお休み」を頂く事ができました。ありがとう ございます。夕方8時ごろ、西の空を見ると、うっすらと明るい。オレンジ色・青色・紺色・・と空の色が、少しずつ変わっていきます。暑さが続きます。おからだ 大切になさってください。

木下製粉株式会社  平成24年8月1日