2014年4月のお知らせ

m201404小さな庭の芝生が、「うっすら」と若草色を帯びてきました。夕暮れどき、優しい雨が降り始めました。やわらかな春の香りが流れてきます。

3%(1989年)→5%(1997年)→8%(2014年)何を意味している数字でしょう!? そう・・日本の消費税導入の推移です。ちなみに2014年の各国の消費税は、イギリスは20%、フランスは19.6%、ドイツは20%、デンマークは25%、スウェーデンは25%です。しかし、消費税率のみで国民生活の豊かさを判断できません。たとえば、フランスでは大学教養課程まで授業料は無料です。福祉システム・年金システムも異なります。「消費税」を初めて導入した国はフランスで、1954年のことでした。

日本では、大平内閣(1978-1980)のとき「消費税導入」の考えが打ち出されました。「商品を買うたびに、なぜ余分に代金を支払わなければならないのだろうか!?」という考えが主流でした。では、何故、大平総理は自民党議員のみならず、主婦層や経済界が反対を示す「消費税導入案」をあえて提唱したのでしょうか。1970年代に始まる原油価格の高騰により、「石油危機」という事態に直面します。トイレット・ペーパーの買い占め、ガソリン・スタンドの休日休業、ネオン・サインの23時での消灯などが施行されました。日本の高度成長期の時代は終わりを告げ、税収が落ち込みました。

10年ぶりに赤字国債の発行を迫られたとき、大平さんは大蔵大臣の職務にありました。「(赤字国債を発行したという)贖罪しょくざいの意識が、消費税導入へ大平を突き動かした」と当時の秘書官が証言されています。「子孫に赤字国債のツケを回すようなことがあってはならない」という強い思いです。「国民には理性がある。一生懸命説明すれば、わかってくれる」と繰り返し言われました。1980年6月12日、衆参同日選挙期間中、大平さんは現職総理として心不全のために逝ってしまいました。選挙演説中、マイクを握りしめながら、少しうつむいた姿勢の写真が印象に残ります。夏の暑い日でした。

大平さんは1910年、香川県観音寺市の生まれ。明治生まれの父は政治活動を支援する人ではありませんでしたが、大平さんの人柄に特別な想いがあったようです。「今日は、坂出市に講演に来るから、おうどんを食べてもらって、疲れを癒やしてもらうんや!」と。父に隠れるようにいた私に「お孫さんですか?」と声をかけてくれました。優しくて穏やかな表情そして、何事にも動じない獅子ししのような「どっしり」と風格が感じられました。答弁の前に、「あー」「うー」と前置きをすると言われましたが、言葉を慎重に選んで発言される方だと印象を持ちます。

2014年1月22日付の産経新聞のコラム「話の肖像画」の中で、バイオリニストの前橋まえはし汀子ていこさんが人生への想いを綴られていました。1961年(昭和36年)、日本から初めての留学生として、ロシアのレニングラード音楽院に留学。後日、大平さんの奥様からこんな逸話を聞いたそうです。「主人が、若い女の子がソ連にバイオリンの勉強に行きたいと言っている。なんとか実現させてやりたい・・とあなたの事をよく話していましたよ」と。前橋さんは大平さんにお目にかかったことがなかったので、たいへん驚いたそうです。私は「大平さんへの父の想い」が、少し理解できたように思います。「香川」のこと、「日本」のこと、そして「日本の将来」のことを考え、36年前に消費税導入を最初に考えた「讃岐人さぬきじん」がいたことを心に留めたいと思います。

4月のお休みは、19日(土曜日)・29日(昭和の日)そして日曜日です。

会社の近くに、小学校があります。普段、子供たちの歓声でいっぱいになっている運動場が、「し~ん」と静まり返っています。春休みが始まったようです。おからだ、大切になさってください。