2021年12月のお知らせ

「うどん屋」さんから、茹で上がったばかりの「おうどん」を頂きました。お野菜(さつま芋と蓮根)の天ぷら、細かく切った青ネギ、砂糖醤油で味付けされた油揚げ、「小エビの天ぷら」も一緒に。ご馳走様です。数年前まで、このお店で「小エビの天ぷら」を揚げるのは、90歳を超えた小柄な「おばあちゃん」の仕事でした。声をかけると、お店の片隅で「おばあちゃん」が恥ずかしそうに微笑んでいる情景を思い出します。

中学校の国語の教科書で読んだ、オー・ヘンリー O.Henry(1862-1910)著の「最後の一葉(ひとは)」という短編小説が心に残っています。ニュー・ヨーク市のマンハッタンの南端に位置するワシントン・スクエアに、芸術家たちが集まる「グリニッジ・ヴィレッジ」という小さな町が舞台で、2人の女性画家の卵が主人公です。オー・ヘンリーは新聞記者を経て、47年という短い生涯のうちに「272」の短編小説を残しました。20世紀の初め(多くの移民たちが流入していた)ニュー・ヨークに移り住み、酒場で人々との会話を楽しみながら、小説の構想を得たようです。小説は何気ない日常生活から見つけ出した「人々の美徳や道徳観」を語っています。

「賢者(けんじゃ)の贈り物(おくりもの)」は、貧しい夫妻が、お互いのクリスマス・プレゼントのために、お金を工面する物語です。夫のジムは、祖父と父親から受け継いだ(鎖のない)金の懐中時計を大切にしています。妻のデラは、金時計を吊るす「プラチナのチェーン」を見つけ、プレゼントするためにデラ自身の美しい「髪の毛」をバッサリと切り売ってしまいます。一方、夫のジムは、デラが欲しがっていた「鼈甲(べっこう)の櫛」をプレゼントするために、大切な懐中時計を売ります。クリスマスの夜、短い髪を整えたデラは心の中でお祈りします。「神さま、ジムが私の事をまだ、かわいいと思っていてくれますように・・」と(デラのお祈りの言葉が素敵ですね)。

お互いのプレゼントを開けました。「懐中時計のチェーン」と「鼈甲の櫛」。ジムとデラは、自分の宝物を犠牲にして相手の気持ちを考え、プレゼントを選び、買ったのでした。オー・ヘンリーはこの短編小説の構想を、「新約聖書のキリスト誕生」から得たそうです。東方の三博士(東方三賢者とも言われます)は、星に導かれながら歩くと、幼子(イエス)のいる場所の上で止まります。馬小屋の「かいば桶」に眠る赤ん坊に「乳香・没薬・黄金」の贈り物を届けます。これが、クリスマス・プレゼントの始まりと言われています。賢者の贈り物の原題は、The Gift of the Magi。Magiとは、賢者の意味だそうです(なるほど~と思いました)。オー・ヘンリーは小説の最後に、「現代の賢者たる読者の皆さんに、言わせて頂きたい」と次の文章を書かれています。「自分の宝物を犠牲にした、ふたりの若者のささやかな物語です。今の時代の人々に忠告するならば、このような贈り物をかわした二人こそが、本当の東方の賢者です」。「クリスマスと贈り物の意味」を考えさせてくれた物語でした。読み終えたあと、私の心は温かい空気に包まれました。キリスト教圏の国々ではクリスマスの季節、(幼子イエスが生まれた)馬小屋の模型とともに贈り物を携えた三博士の人形が飾られています。

12月11日(土曜日)、12月25日(土曜日)、30日・31日そして日曜日、(年始は1月4日まで)お休みを頂きます。

仕事を終えた後、南西の夜空を見上げると、金星 が輝いています。手洗い・うがい・マスクの着用を心がけて、新しい年の準備をしましょう。おからだ、大切になさって下さい。