うどんを作る時の「足踏み」って…どれくらいすればいいですか?
うどん作りにおける「練り工程」は、現在のところ「足踏み」が最適といわれています。
製麺機械はいろいろあるけど、どちらかというと製造能力重視で「手打ち」のビミョーなタッチまでは、まだ完全に再現できていません。
初めてうどんを作ったときは、恐る恐る適当に踏んでみたら、意外においしいうどんができ、嬉しくなった経験のある方もいらっしゃると思います。すると「次はもっと美味しいうどんを、打ってみたいな」と考え、次のような発想がでてくるのは当然のことです。
「もっと踏めば、更においしいうどんができるだろう」
そして、自分なりに工夫しながら、うどんを打ったら、更においしいうどんができ、ますますうどんづくりが楽しくなる方もいます。その後は、順調においしいうどんができ、「ひょっとしたら、そんじょそこらのうどん屋さんより美味しいかも?」なんて思うかも知れません。でも、そもそも製法が手打ちなので、確かにおいしいはずなのです。ただ、ある日、次のように感じる方もいます。
「いつもより、丁寧に踏んだのに、ちょっとうどんが硬い気がするなあ」
最初は意外でしたが、このようなご意見は、結構耳にします。特に真面目に、取り組んでいる方からよく聞きます。
結論から言うと、「生地を踏みすぎている」ケースがこれにあたります。十分なグルテンを形成するには、足踏みが最適です。
しかし、長時間踏みすぎると、今度は逆に生地が硬くなり、ゆでたとき、手打ちうどん独特のふっくらとしたソフト感がなくなってしまいます。ここに足踏みに対する誤解があると思います。
「踏めば踏むほど美味しくなる(なってほしい)」という気持ちはわかります。しかし現実には最適な足踏み回数というものがあります。
つまり「過ぎたるは及ばざるが如し」であり「過保護はうどんのためにならない」のも事実です。
では、最適な足踏み回数はいくらがいいんでしょうか?
これは、踏む人の体重にも、またそれ以上に、一度に練る小麦粉の量に影響されます。だって、ゆで時間にしても、鍋の大きさ、火力、ゆでるうどんの量などによって違うでしょ。
たとえば、1kg程度の小麦粉に500gの塩水を混ぜ合わせた生地は、50回も踏んだら、ぺっしゃんこになります。次にこれを折り重ねて、同様の工程を4~5回繰り返すともう十分で、逆にこれ以上踏むと良くありません。
この一連の足踏み工程は時間にすると5分程度で、案外、短く感じるかもしれません。しかし、団子(生地)が小さいときはこんなものです。
以前、問い合わせを受けた方の中には、この位の量で、「40分位踏んでいる」と答えられた方もいましたが、これは明らかに踏みすぎです。
実際に、ご自身で両方を踏み比べ、それをうどんにしてゆでてみたら、違いが実感できます。
逆に、個人ではなかなかありませんが、5kgの小麦粉を一度に練るときは、かなり足踏みしないと、うまくグルテンが形成されません。このあたりの感じは、何度か足踏み回数を変えながら、体感するしかありません。
以上まとめると、次のようになります。
(1) 「足踏み回数は多ければ多い程良い」というものではない。適正回数がある。
(2) 過保護は禁物。適当に踏んでやった方が、おいしくなることもある。うどんが硬いと感じたら、思い切って、足踏み回数を減らしてみる。
足踏み回数は生地の大きさに当然影響されるが、一般的なイメージよりも少なく、短時間で終了する。
多く踏めば踏むほど、おいしいうどんができてほしいという気持ちは理解できるけど、それはうどんのためにはならないという事です。